小野グループ倒産と粉飾決算

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小野グループの持ち株会社が倒産しましたが、小野グループ主要3社の粉飾決算について福井銀行に焦点をあてて見てみましょう。福井銀行は、小野グループへの181億円の融資に対して3億円の担保しかなく、審査の甘さは株主総会で経営責任を追及されそうですね。


(1)福井銀行の審査と不良債権

貸倒引当金と不良債権

小野グループの持ち株会社、小野ホールディングス粉飾決算で倒産しました。福井銀行は小野グループ3社の粉飾決算と倒産により、150億円以上の不良債権処理費用が発生しています。

ワシ興産、ワシマイヤー、アサヒオプティカルと追加の貸倒償却

  • ワシ興産株式会社 小野光太郎社長 資本金1,000百万円 
  • ワシマイヤ-株式会社 小野稔社長 資本金1,001百万円
  • 株式会社アサヒオプティカル 小野稔社長 資本金240百万円
貸出債権は融資先の格付により、貸倒引当金の金額が決まります。小野グループの3社は倒産なので、100%の貸倒引当金が必要となります。

決算修正で、福井銀行の貸倒引当金がない事が分かる

福井銀行の業績が著しく悪化しているのは、貸出債権のかなりの部分が一度に不良債権化したことを表しており、粉飾決算に全然気付かなかったということですね。

小野グループが倒産する兆候を、福井銀行が見つけて格付を引き下げていれば、一気に貸倒償却引当費用を積みます必要がないからです。
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(2)福井銀行の審査が甘い

小野グループは、倒産に至るまで粉飾決算で福井銀行を出し抜いていますが、東経情報11月9日号に掲載した記事を【東経マンの倒産検証】 銀行を手玉に取った巨額粉飾倒産劇が紹介しているので見てみたいと思います。

小野グループ倒産と粉飾決算について見ると、福井銀行の審査が甘い事が分かります。管理人が一つ補記するとすれば、銀行別の借入残高推移表と、預金や不動産などの担保や、資金流や運転資金の取引口座がどうであったのか見る必要がありそうですね。

(3)小野グループと福井銀行のやりとり

北陸銀行とのやりとり

  • 9月27日 小野グループは、北陸銀行から5億円融資
  • 9月28日 小野グループは、北陸銀行から5億円融資
  • 小野グループ全体で上記10億円の融資と、北陸銀行へ新規担保
  • 9月末 小野グループが9月末決済を超える
  • 10月2日 小野グループの公認会計士のワシ興産取締役が、福井銀行に来て説明、12月末まで元利金支払停止で、資金繰りがたつ
小野グループの社員が、福井銀行に来て粉飾決算の説明をしています。北陸銀行からの新規借入の資金使途と担保カバーがどうだったのかが気になりますね。福井銀行の小野グループ向け貸出の担保は、181億円の融資に対して、担保は3億円しかなかったようです。

この情報だけですと、小野グループがリスケ申込み前に、駆け込みで北陸銀行からお金を借りている事が分かりますね。

小野グループ粉飾決算と資金繰り破綻を示唆

  • 小野グループは過去10年間にわたって粉飾決算資料を提出
  • 小野グループは、他の取引銀行にもそれぞれ粉飾決算資料を提出
  • 小野グループは、決算書以外にも多数の偽造・改ざん資料(残高証明書等)を提出
  • 小野グループは、全金融機関に元利金支払い停止要請
小野グループ粉飾決算のきっかけになる話を、福井銀行にしていますね。福井銀行は一見すると、小野グループに完全に手玉に取られているように思えますが、残高証明書が海外銀行で怪しいうえに、他の取引銀行に連絡して確認していれば分かりましたね。

(4)粉飾決算の内容

役員貸付で246億円を飛ばし

  • 平成9年以降、小野グループは東証1部・ニツセキハウス工業㈱(東京都港区、平成14年10月民事再生手続開始申立、負債総額175億円)に対する125億円の投融資に失敗
  • 平成13年ごろから始めた日経225先物オプション取引で121億円の損失
  • 小野グループは合計246億円の損失を役員貸し付けに振り替えて、飛ばし処理
小野グループの粉飾決算は、246億円の飛ばし処理がきっかけなのでしょうか。小野グループの粉飾決算のうち、ニッセキハウス工業の投融資について、第一勧業銀行(みずほ銀行)の飛ばしの一つだった可能性を指摘する話もあります。

小野グループの役員貸付金246億円を、福井銀行の担当者や審査部はどのように検証していたのか気になりますね。

銀行同士でなぜ連絡をとらなかったのか

  • 小野グループ3社の平成23年12月決算で福井銀行向け決算書には現預金156億円、貸付金95億円、借入金196億円
  • 小野グループ3社の実態は現預金8億円、貸付金399億円、借入金398億円
  • みずほコーポレートや北陸銀行、三井住友銀行に対しても数値が違う粉飾決算書を提出
小野グループの決算書について見ると、現預金がほとんどない事が分かりますが、福井銀行が信用した理由も杜撰ですね。数百億円の企業規模を考えると、1か月分も現預金がないですから厳しい資金繰りだったのでしょう。

小野グループが銀行ごとに異なる粉飾決算書を提出していたとすれば、福井銀行がメインバンクとして情報交換すれば、すぐに分かっていますね

(5)お金を増やしたのは架空預金

  • ワシマイヤー ドイツ銀行の残高証明書では平成23年12月末で64億円は560万円(5万ユーロを1ユーロ120円で計算)
  • ワシ興産 HSBC(英国の銀行)の預金残高148億円は架空預金
  • 銀行預金偽造証明書の活用
小野グループの倒産と粉飾決算を見ると、架空預金でお金を増やしています。福井銀行は、ドイツ銀行やHSBCに残高証明書の問い合わせや鑑定をしなかったのでしょうか。

福井銀行など銀行がどのように対応していたのか、株主に説明責任が必要でしょうね。江守グループホールディングス倒産の理由をまとめましたが、福井銀行は江守商事でも多額の損失が発生しています。

小野グループと江守ホールディングスで共通しているのは、海外関連の事象が発生していることでしょう。福井銀行の融資審査は、小野グループや江守ホールディングスの現金の確認方法について、粉飾決算に類似点があるのか気になりますね。

(6)福井銀行の小野グループ向け貸出の事後検証が甘い

小野グループに福井銀行が設備資金を貸出

  • 福井銀行は小野グループのワシ興産、高岡工場・小矢部工場の新規設備投資で20億円を貸出
  • 小野グループは、資金使途を求められた際に架空の請求書・見積書を偽造
  • 北陸銀行の入出金・振込入金明細照会の印刷部分を改ざんして手形決済を仮装した資料を提出
お金を貸し出した後に、資金繰りを検証する事が銀行は重要になります。福井銀行は、小野グループの設備投資の書類が偽造だとしても、現場で見れば分かりますね。

融資の資金使途が違う 福井銀行の現場検証も杜撰

  • 小野グループは、平成23年4月に銀行担当者が工場の現地実査で訪問時に工場内の写真撮影を拒否
  • 小野グループが、後日提出した機械写真も新規導入品ではなく昔のままの機械
  • 福井銀行の小野グループ向け20億円の融資資金は、設備投資ではなかった
福井銀行は、小野グループ向け融資の事後検証を、丁寧に行わなかったようですね。小野グループの現預金残高はわずかですので、運転資金に回っていたのではないでしょうか。

小野グループ倒産と粉飾決算について見ると、福井銀行の担当や審査部の検証が甘かった部分が多数あるように思えます。福井銀行は株主総会で、細かく説明する責任がありそうですね。

小野光太郎の自己破産 倒産と粉飾決算でまとめましたが、小野親子は自己破産を行ったことが報じられていますね。小野グループのように多額の資産があったとしても、社長が債務保証を行うことはよくありますので、粉飾決算による不正融資で個人資産は売却されそうですね。
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