(1)江守グループホールディングスの粉飾疑惑と倒産
- 江守グループホールディングスが民事再生で倒産
- 江守グループホールディングスの財務統括役員が2015年2月に辞任
- 江守グループホールディングスの財務統括役員は元みずほ銀行副支店長
- 江守グループホールディングスの第3四半期決算書の提出が遅延していた
- 江守グループホールディングスの中国事業は多額の不良債権を発表
- 江守グループホールディングスの決算書は売上高と利益は好調であった
- 江守グループホールディングスの決算書はキャッシュフロー計算書が異常であった
江守グループホールディングスは、2015年2月に財務担当の役員が辞任しているだけでなく、上場企業の義務である決算書の提出が遅延していました。江守グループホールディングスの業績を見れば、売上高と利益は右肩上がりになっていますが、不思議なことに倒産しています。
江守グループホールディングスのキャッシュフロー計算書は、粉飾決算と言われても仕方のない状況になっていますが、福井銀行は見抜けなかったのか気になります。日本の銀行は、お金がないときに借りにくいと言われていますが、粉飾決算の疑惑が分かりやすいときでも貸してくれる銀行はあると言えそうですね。
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(2)江守グループホールディングスの売上高と利益は好調
江守グループホールディングス売上高推移の比較
- 江守グループホールディングス2010年決算の売上高 657億円
- 江守グループホールディングス2011年決算の売上高 949億円
- 江守グループホールディングス2012年決算の売上高 1159億円
- 江守グループホールディングス2013年決算の売上高 1400億円
- 江守グループホールディングス2014年決算の売上高 2089億円
江守グループホールディングスの営業利益
- 江守グループホールディングス2012年決算の営業利益 27億円
- 江守グループホールディングス2013年決算の営業利益 31億円
- 江守グループホールディングス2014年決算の営業利益 56億円
江守グループホールディングスの当期利益
- 江守グループホールディングス2012年決算の当期利益 17億円
- 江守グループホールディングス2013年決算の当期利益 19億円
- 江守グループホールディングス2014年決算の当期利益 33億円
江守グループホールディングスの決算書を見れば、2010年から2014年にかけて売上高が3倍以上に拡大しており、急速に企業規模を拡大しているように見えます。江守グループホールディングスは、増収増益になっていますが、この時点で何となく不自然であると評価した人もいるでしょう。
東芝粉飾決算で株価暴落をまとめましたが、江守商事と東芝の粉飾決算を比較すれば、決算書から分かりやすい事例であると言えます。江守グループホールディングスの倒産は、監査法人にお金を払っていたとしても、簡単な粉飾決算を放置するようなリスクがあるということでしょう。
江守グループホールディングスに、銀行は何百億円も融資をしていますが、自分のお金であれば貸していたのか気になるところです。江守グループホールディングスは、売上高は急速に拡大していますが、利益水準は不自然なほどに低いことに気付いた方は多いでしょう。
(3)江守グループホールディングスのキャッシュフロー計算書は1000億円の現金があっても資金調達が怪しい
江守グループホールディングス2013年3月期キャッシュフロー計算書
- 江守グループホールディングス2013年3月期営業キャッシュフロー27億円の赤字
- 江守グループホールディングス2013年3月期投資キャッシュフロー10億円の赤字
- 江守グループホールディングス2013年3月期財務キャッシュフロー351億円の黒字
- 江守グループホールディングス2013年3月期現金の期末残高741億円
江守グループホールディングス2014年3月期キャッシュフロー計算書
- 江守グループホールディングス2014年3月期営業キャッシュフロー52億円の赤字
- 江守グループホールディングス2014年3月期投資キャッシュフロー3億円の赤字
- 江守グループホールディングス2014年3月期財務キャッシュフロー120億円の黒字
- 江守グループホールディングス2014年3月期現金の期末残高1512億円
江守グループホールディングスのキャッシュフロー計算書は、粉飾決算が疑われるような怪しい部分がたくさんありますが、財務キャッシュフローと現金残高に注目すれば分かりやすいでしょうね。江守グループホールディングスは、多額の現金を保有しているのにも関わらず、多額の資金調達を行っています。
江守グループホールディングスの売上高は、2014年3月期に2089億円になっていますが、期末現金は1512億円もあります。江守グループホールディングスの現金は、売上高と比較しても異常な水準になっているだけでなく、異常な伸びを続けているため怪しいことが分かりやすいですね。
(4)江守グループホールディングス粉飾決算の疑惑が分かりやすい理由
- 江守グループホールディングスの売上高が急速に増加
- 江守グループホールディングスの利益には変化がほとんどない
- 江守グループホールディングスの売掛金と受取手形が急激に増加
- 江守グループホールディングスの手元現金が急速に増加している
- 江守グループホールディングスの手元現金が多いのに資金調達を続けている
江守グループホールディングスの営業キャッシュフローは、売上債権が増加を続けてきたため、影響キャッシュフローの赤字が続いてきました。江守商事の取引は、受取手形と売掛金の急速な増加が続いており、売上高と売上債権が異常なことは粉飾決算でよくあることですね。
ラムインターナショナル日本倒産の理由をまとめましたが、中国市場で急成長していた会社が、売上高が急減して突発破綻しています。江守グループホールディングスだけでなく、急成長していれば運転資金を借入に依存しやすくなるため、トラブルが発生したときに資金繰り破綻することになりやすいでしょう。
江守グループホールディングスの2014年9月中間決算は、受取手形と売掛金が824億円に膨らんでおり、2014年3月期売上高の約4割に膨らんでいます。福井銀行の審査部は、江守グループホールディングスの与信管理をしていくなかで、預金の残高証明や売上債権を確認できていて融資を継続したのか気になりますね。
(5)江守グループホールディングス倒産の問題点
- 江守グループホールディングスは配当をしていた
- 江守グループホールディングスは債務超過の時期が問題
- 江守グループホールディングスの中国事業は実態が問題
- 江守グループホールディングスの突発破綻により福井銀行は100億円以上の損失発生
石山ゲートウェイホールディングス粉飾決算の仕組みをまとめましたが、江守グループホールディングスのように、業績好調なように見せかけることはよくある話です。江守グループホールディングスは、杜撰な会計処理により倒産しており、投資先を選ぶときに規模の小さい企業はリスクが高いでしょうね。
江守グループホールディングスは、中国事業で多額の損失を計上していますが、粉飾決算か詐欺被害なのかは今後調査されるのでしょう。江守グループホールディングスの突発破綻は、メインバンクの福井銀行の業績に大きな影響を与えることになります。
福井銀行は、2014年3月期決算の当期純利益74億円のため、江守グループホールディングス向けの無担保与信106億円の影響は大きくなります。江守グループホールディングス倒産の理由を見れば、上場企業であっても突発破綻があるため、投資や取引をするときは注意が必要ですね。 スポンサードリンク
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