ニイウスコー粉飾決算と倒産 監査法人の問題点

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ニイウスコーは粉飾決算の発覚により倒産、責任者は有罪となりました。ニイウスコーの決算に監査法人がお墨付きを与えていますが、倒産まで実質債務超過であり、公募増資を行うなど問題点があります。

(1)ニイウスコー裁判で有罪判決

ニイウスコーの粉飾決算事件で有罪判決がでたことを、産経新聞2013年1月17日が報じています。
東証1部上場だった情報システム会社ニイウスコー(解散)の粉飾決算事件で、旧証券取引法違反の罪に問われた元副会長、大村紘一被告(70)の控訴審判決で、東京高裁は17日、懲役2年6月、執行猶予4年、罰金300万円とした1審横浜地裁判決を支持、弁護側の控訴を棄却した。(産経新聞) 
判決によると、大村被告は元会長(65)=1、2審で実刑判決、上告中=と共謀、平成17年と18年の6月期に、売上高を計約274億円水増しした虚偽の有価証券報告書などを提出した。(産経新聞)
東証1部上場企業だった、ニイウスコーが売上高水増しの粉飾決算を行っています。ニイウスコーの粉飾決算の問題点について見ると、粉飾決算をしながら公募増資を行ったことと、粉飾決算を監査法人トーマツが見抜けなかったことがあります。

カネボウ倒産と粉飾決算を見ると、循環取引や飛ばしなどにより債務超過を粉飾していましたが、公認会計士が逮捕されています。日本を代表する上場企業でも粉飾決算がありますので、新興市場に上場している企業の場合、会計不祥事が投資リスクにあることを理解する必要があります。
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(2)ニイウスコー粉飾決算事件の問題点

  • 循環取引により、売上高水増しの粉飾決算
  • 公募増資を行っているが、粉飾決算を行っている
  • 監査法人トーマツが粉飾決算を見抜けず
ニイウスコーは、wikipediaによると1992年に日本IBMと野村総研の合弁企業として設立されています。ニウスコーは東証一部に上場後、上場企業として監査法人の厳格な監査を受けているはずでしたが粉飾決算が発覚、倒産しました。

ニイウスコーの粉飾決算について、2010年2月15日の日経ビジネスオンラインを見てみましょう。粉飾決算の仕組みと、公募増資の問題点、監査法人の責任について見ていきたいと思います。

(3)循環取引による粉飾決算

投資ファンドが資本参加後の内部調査で発覚

事業再生を目論んで2007年11月に200億円の資金を投じて資本参加したロングリーチグループなど投資ファンド連合の主導で内部調査が進められたところ、不正な取引が次々に発覚。望みを託した銀行団からの金融支援も得られず、経営破綻に追い込まれたのだった。(日経ビジネスオンライン)
粉飾決算が発覚したのは、監査法人の功績ではなく、投資ファンドの内部調査によるものです。投資ファンドなど、通常、資金を拠出する際にデューデリジェンスという対象企業の収益性や資産調査を行います。

後述しますが、監査法人のお墨付きもあり、お金を投資した際に不正経理に手を染めているとは思わなかったのでしょう。

循環取引のからくり 販売した自社商品を買い戻し

ニイウスが日立情報システムズから24億円で仕入れた商品の売買が行われたのは2004年12月。それは3つのルートが一本化されたものだった。(日経ビジネスオンライン)
そのどれもが、もともとはニイウスが販売したものである。自分で販売したものを、最後は自分で買い戻していたのが、今回の粉飾決算の基本的な手口だ。(日経ビジネスオンライン)
循環取引とは、複数の企業が協力して実態のない取引を行い、売上と利益の計上により決算書を粉飾する方法です。ニイウスコーの販売する商品は、ソフトウェアであり物が実在しません。そのため、粉飾決算を行いやすかったのでしょう。

架空在庫が手元に戻り、子会社で損失処理

もともとは自分で販売したものであり、しかも売買がなされるごとに手数料が上乗せされているから、最終的にニイウスへと戻ってきた合計約39億円の商品にそれだけの価値などない。架空在庫は結局、ニイウスメディカルにまとめて移され、「医療システム部門からの撤退」というもっともらしい大義名分の下、損失処理されたわけである。(日経ビジネスオンライン)
ニイウスコーは循環取引を行っていますが、架空の売上や利益を計上し続けても、本当は売上や利益はでていません。そのため、ニイウスコーの手元に戻ってきた在庫を子会社に移し代えて、損失処理を行っています。

(4)粉飾で債務超過の中、公募増資

ニイウスコーは実質債務超過

不正取引による利益の水増し額は合計で約277億円。実際には、2005年6月期からニイウスコーは大幅な債務超過に陥っていた。 (日経ビジネスオンライン)
ニイウスコーの不正は、2007年11月の投資ファンドの調査により不正が、明るみになっています。ニイウスコーの監査法人はその間、不正を見抜けず株主や投資家など利害関係者に対して、お墨付きを与えていた事になります。

公募増資の実施と経営陣の持ち株売却

その間、同社は2回にわたって公募増資を実施し、133億円もの資金を市場から調達していた。また、経営陣は同時に持ち株を売り出しており、末貞元会長は1億5400万円を手にしていた。(日経ビジネスオンライン)
ニイウスコーは、粉飾決算を行っており実質債務超過です。
  • 債務超過では公募増資で多額の金額を集められなかった
  • 株主は粉飾決算を知らずに損失
  • 経営陣は持ち株売却で不正な利益を得ている
ニイウスコーの粉飾決算と公募増資について見ると、粉飾決算による不正の影響が大きい事が分かります。監査法人の責任は重いですが、大手監査法人トーマツの対応を見てみましょう。

(5)大手監査法人トーマツの会計士が決算処理に太鼓判

実は、不正会計疑惑の報道がなされたことを受け、ニイウスコーは2007年10月に投資ファンド連合に対して本社会議室で説明の場を設けていた。その際、末貞元会長ら経営陣と同じ説明者席には、トーマツの担当会計士もいたのである。担当会計士はその場でニイウスコーの決算処理に太鼓判を押したという。 
このこともあり、投資ファンド連合は翌月に予定通り投資を実行したのだから、トーマツに裏切られたとの思いは強かった。(日経ビジネスオンライン)
大手監査法人の会計士が、ニイウスコーの決算処理を認めたのであれば、その責任は重いのではないでしょうか。
アクセスはソフトウェア業界の事例、プロディースは循環取引の事例です。株式投資の際に、有価証券報告書は重要な指標として見ている方が多いと思います。ニイウスコーの粉飾決算と倒産を見ると、監査法人や公認会計士を信じすぎるのはよくない事が分かりますね。

ニイウスコー粉飾倒産で損害賠償の判決がでていますので、インデックスの役員に多額の損害賠償が請求されています。ニイウスコー役員が支払うことができなければ、投資家が監査法人に対して、請求をするのか注目ですね。
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