カネボウ倒産と粉飾決算

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カネボウは粉飾決算の発覚により倒産していますが、産業再生機構が再建を行った後に、花王グループ傘下に入っています。カネボウは2013年7月の化粧品回収の発生で、信頼が失われており、花王の業績にも影響を与えていますね。

(1)粉飾決算で倒産

インデックスの粉飾決算が話題となりましたが、粉飾決算の発覚は取引先からの信頼を失いますので、倒産するときがあります。

上場企業の場合、監査法人の監査が決算書の信頼性を担保していますので、公認会計士が逮捕されたり、監査法人の信頼がなくなり倒産することもあります。
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(2)カネボウの創業から戦後

  1. 1887年 紡績会社、東京綿商社として創業
  2. 1889年 紡績工場完成
  3. 戦前は国内企業売上高1位
  4. 1945年 空襲などで工場の喪失
  5. 戦後は旧経営陣が公職追放
カネボウは化粧品会社のイメージを持っている方が多いと思いますが、紡績会社として創業しています。紡績会社は、日本の主要な輸出産業でしたので、戦前は国内売上高1位の時期もあり、現在のトヨタのような位置であったようですね。

カネボウのような巨大企業は、空襲で狙われたり、戦後は財閥解体や公職追放が行われていますので、戦争により過去の財産が失われていることが分かります。

(3)繊維事業からの転換

  1. 1949年 非繊維事業を鐘淵化学工業(カネカ)として分離
  2. 1961年 化粧品事業を鐘淵化学工業から買い戻し
  3. 1963年 紡績工場を化粧品工場に転換
  4. 1964年 ガムメーカーのハリス(クラシエフーズ)を買収 食品事業進出
  5. 1966年 山城製薬を買収 薬品事業(現・クラシエ薬品)に参入
  6. 1973年 オイルショックによるリストラ
カネボウは戦後、繊維事業に依存する経営から転換を進めており、多角化を推し進めています。カネボウの多角化はペンタゴン経営と呼ばれており、5つの主力事業に力を入れていました。
  • 繊維 保有資産の延長線上
  • 化粧品 カネカからの買戻し
  • 食品 買収
  • 薬品 買収
  • 日用品 保有資産の延長線上と買収
カネボウの多角化を見ると、本業と関連のない事業が多いことが分かりますが、化粧品事業が好調であったものの他の事業の赤字に資金を吸収されることが続きます。

(4)バブル崩壊と粉飾決算の背景

  • 新規参入分野の増加により借金が増加
  • バブル崩壊による業績悪化
  • 労使協調により赤字部門のリストラが不徹底
  • 金融ビッグバンによる連結決算の導入
カネボウは新規参入を積極的に行いますが、新分野への参入を借金で賄っていたため、財務状況が悪化します。カネボウはバブル崩壊により不採算部門のリストラを行っていますが、赤字部門のリストラが不十分であり債務超過になります。

カネボウの経営陣は、債務超過による上場廃止を恐れて、粉飾決算により債務超過を隠蔽することを選んでいます。カネボウは連結決算の導入が行われると、グループ会社の業績悪化の影響で債務超過となりますので、粉飾決算を行うことを選んでいます

半沢直樹 粉飾決算のネタバレでまとめましたが、バブルに銀行に入社した銀行員を描いたドラマが話題となっています。カネボウは大企業ですが、中小企業の倒産や粉飾決算、銀行内部事情に興味のある方にとっても、興味深いドラマであると思います。

(5)粉飾決算の内容

  1. 2005年粉飾決算の報道
  2. 1996年3月期から2004年3月期まで9期連続の債務超過
  3. 粉飾決算は2000億円超であり上場廃止
  4. 子会社の連結外しなど粉飾決算が常態化
  5. 経営悪化の15社を連結決算から外す
  6. 興洋染織の連結外しと循環取引で1000億円超
カネボウは倒産する前に、粉飾決算を積極的に行っていましたが、興洋染織との循環取引による粉飾決算が財務に大きな影響を与えていることが分かります。カネボウは原料を提供、興洋染織は製品の生産をしていましたが、カネボウが生産調整を拒んだだめ興洋染織が生産を続け、在庫をカネボウが背負うことになります。

クロニクル倒産と上場廃止がありましたが、証券取引所がカネボウの粉飾決算と問題性の高い企業に対して、上場維持が問題ないとしていたのか気になりますね。カネボウは上場廃止になっていますが、日本の金融当局は粉飾決算を行った企業の上場廃止基準が分かり難いという指摘もあります。

太陽商会 粉飾決算と上場廃止をまとめましたが、カネボウより企業規模の小さい企業で粉飾決算が発覚しています。カネボウや太陽商会など、粉飾決算の発覚した上場企業で、金融当局の処分にどのような違いがあるのか比較すれば投資の研究にもなりそうですね。

(6)カネボウ粉飾決算 循環取引の仕組み

  1. カネボウ 原料生産、興洋染織に販売
  2. 興洋染織 製品生産 カネボウに生産した製品を販売
  3. カネボウ 興洋染織の製品を買い戻し条件つきで販売
  4. 商社 兼松やトーメンなどは在庫をカネボウに返品
カネボウは、繊維部門のリストラに失敗していますが、そのことが粉飾決算による倒産の背景となっています。カネボウは生産調整を嫌った結果、買い戻し条件付で製品を販売しており、循環取引を行っています。
  • 興洋染織の支援 不良債権化で多額の損失
  • 興洋染織の法的整理 カネボウの信用不安
カネボウは、興洋染織の経営支援の申し出を受けていますが、1997年に商社から要求された約459億円の買い戻し製品は興洋染織に飛ばしを行っています。カネボウ自主回収商品その後と倒産危機を見ると、初動対応の遅れにより製品回収は20%台であり原因究明も遅れており、粉飾決算の頃と企業文化が変化していないのか気になりますね。

魁コンサルティング倒産と詐欺は、みずほ銀行築地支店の不正融資事件ですが、粉飾決算が行われています。カネボウの粉飾決算とは異なり、銀行から新規融資を獲得する目的で、粉飾決算が行われていますね。。

(7)カネボウ倒産と企業再生

  1. 2003年度決算 3553億円の債務超過
  2. 2004年 花王への化粧品部門売却に労働組合が反対
  3. 2004年 産業再生機構が支援が決定
  4. 2005年 カネボウの上場廃止
  5. 2005年 中央青山監査法人の公認会計士が逮捕
  6. 2006年 カネボウ化粧品が花王の100%子会社に
  7. 2006年 中央青山監査法人の倒産
  8. 2007年 カネボウ解散により倒産
カネボウは粉飾決算の発覚と決算修正により、巨額の債務超過となっており倒産しています。カネボウの粉飾決算で、巨大監査法人が倒産しており、担当者が逮捕されていたことも有名である理由の一つですね。

カネボウは倒産しましたが、化粧品部門は花王の子会社として業績回復が進んでいました。カネボウは2013年7月に化粧品回収を発表していますが、2000人を超える被害者がでており、ブランドイメージの悪化で低迷が続きそうです。カネボウまだら被害者画像と倒産危機を見ると被害者が8000人を超えていますが、現在も報告が増加しているようですね。

カネボウ白斑画像 自主回収と倒産の可能性でまとめましたが、カネボウは現状、保険外治療を認めていないですが、過去に皮膚治療を受けた方からの損害賠償請求もありそうですね。
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