(1)不良債権の回収と自己破産
債権者にとって、債務者が倒産すると不動産や貯金などの残った資産から回収することになります。債権者は相手が破産した場合、ほとんど回収できないため大部分は不良債権となり、無税で償却したり損金として計上することになります。計画倒産のメリットは、本来であれば会社関係者への支払いを可能な限り行うことを目的としています。消費者金融で過払い金があると、消費者金融の計画倒産は別の法的な意味を持つことになります。
消費者金融は過払い金訴訟を多数抱えていましたが、武富士のように倒産した場合、本来取り戻すことのできた過払い金は債権回収できませんので不良債権と言えると思います。会社が倒産したり自己破産した場合、借金は免責されますが、武富士創業者の武井一族を相手取って裁判が継続しています。
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(2)武富士倒産の理由
- 1966年1月 武井保雄が富士商事を創業
- 1998年12月 東京証券取引所に上場
- 2010年9月28日 会社更生法を申請
- 2011年 韓国の消費者金融アプロ(A&Pファイナンシャル社)が買収予定
- 2012年3月1日 日本保証(Jトラスト)が会社分割後に買収
- 2012年3月1日 旧法人はTFKとなり債務返済の継続
- 消費者金融業界のトップ
- 武井家は消費者金融により日本有数の資産家になる
- 過払い金請求訴訟の増加と資金繰り悪化により倒産
プロミス過払い金返済と融資をまとめましたが、武富士は独立系を貫きましたが、プロミスは三井住友銀行グループとなっています。武富士のように倒産した消費者金融と、プロミスのように大手銀行系列になった消費者金融がありますね。
武井保雄は亡くなったため、武井氏の資産は親族が相続を既に済ませていますね。武井一族は、消費者金融の武富士で莫大な資産を築きましたので、武井一族が持つ資産は数千億円から1兆円近くあると言われています。
(3)グレーゾーン金利と過払い金請求 武富士の倒産とJトラスト買収
- 利息制限法100万円以上の利息 年利15%
- グレーゾーン金利 利息制限法と出資法の間の金利
- 出資法の刑事罰 年利29.2%
Jトラスト評判 消費者金融倒産と買収でまとめましたが、武富士倒産後にJトラストが融資債権を購入しています。武富士の倒産後に、Jトラストが買収していますので、過払い金請求の時効は倒産により短期化していますね。
消費者金融一覧の口コミ評価を見れば、武富士以外の大手消費者金融は、メガバンクのグループになっている会社があります。武富士は倒産していますが、カードローンによる融資は、銀行が主導する業界に変化していることが分かりますね。
(4)武富士破綻で過払い金の債権カット
- 優先債権 税金や従業員の給料などが倒産すると優先的に支払われる
- 一般債権 優先債権を支払った後の資産で支払われることで、倒産すると債権カットが多い
- 過払い金は一般債権であるため債権カットの対象
弁済率が5%であれば、95%の債権は債権放棄ということになります。武富士のような消費者金融は、グレーゾーン金利の過払い金で急激に負債が増加しており、債権の金額が大幅に増加したことで、90%を超える債権カットが行われる消費者金融があるようですね。
アイフル倒産と審査を見ると、独立系の消費者金融は資金繰りが厳しくなっているようですね。武富士は倒産後にJトラストが買収していますが、アイフルを買収する可能性が示唆されており、外資系債権者の動向とともに注目ですね。
(5)武富士の過払い金請求訴訟
武富士、倒産と過払い金2回目について、2013年9月14日の週プレNEWSが、本人尋問でついに登場! 「武富士」創業家次男、武井健晃氏の狼狽ぶりを報じているので見てみましょう。- 武富士の経営破綻
- 武富士の債権カットで過払い金返還額が大幅に減額
- 武富士の違法経営で倒産まで、武井家が不正に個人資産に転換したとして集団訴訟
SFCG倒産破産と過払い金について、過払い金は会社の負債として考えることができます。会社が倒産した後に、管財人が会社の資産売却や資産隠しについて調査を行いますが、倒産後の配当金額が増加すれば過払い金の返還割合を増やせる可能性がありますね。
武井保雄氏について、後藤忠政氏が著書の『憚りながら』のp184から触れていますので、その筋の人達と武富士上場の際に繋がりがあったことが分かりますね。武井一族に対する集団訴訟は、武富士の過払い金の支払いを求めて、武井一族に対して個人資産から支払いを求めた訴訟であると言えそうですね。武井一族の責任追及について、武富士の管財人がグループ企業や資産管理会社の資金を徹底追及したのか少し気になりますね。
(6)武富士と武井一族への集団訴訟
- 武井一族の違法経営で同社の財務が悪化
- 武井一族が倒産までに会社利益を不正に個人資産へと転換
- 武富士の過払い金返還額の不足分は武井一族が支払うべき
- 2013年8月30日 武井健晃 元武富士副社長 東京地裁で本人尋問
- 2013年8月30日 東京地裁開廷の5時間以上前から傍聴券希望者が列
- 2013年8月30日 武井健晃氏の本人尋問 98枚の券に対し140人超の希望者
- 2013年11月8日 最終弁論
武富士メリルリンチ訴訟仕組 過払い金の影響をまとめましたが、過去の取引の損賠賠償により、債権者配当を行える可能性があります。武富士の過払い金返還は、損害賠償を獲得すれば、順次行われることになりそうですね。
武富士は会社更生の申請で、武井一族は保有している持ち株の価値低下以外に直接の財産の支払いは免れていますので、多額の資産の行方が焦点になっています。武富士創業者である、武井保雄氏の次男である武井健晃氏の法廷での様子について見てみましょう。
(7)武井健晃の武富士時代の様子
- 武井健晃 武富士倒産後、初めて公の場に姿を現す
- 原告側弁護団 武富士元支店長による残業代未払い訴訟の証拠の録音テープ
- 原告側弁護団 武井健晃氏と武富士支店長がやりとりした録音テープで流す
- 原告側弁護団の録音テープ 武井健晃氏が全然足りねえじゃんと繰り返し怒号
- 原告側弁護団 武井健晃氏に本人の発言か問うが、本人は記憶にないと答える
- 武富士の業績悪化時の株主への高配当に疑問はなかったか
- 武井健晃 たとえ会社が倒産しても、配当するメリットがあった
武富士判決2013年10月30日訴訟敗訴の理由でまとめていますが、グレーゾーン金利と法人税に関する法律で訴訟が行われていたようですね。武富士は消費者金融大手でしたので、倒産した後も、過払い金訴訟だけでなく様々な訴訟が継続していることが分かります。
(8)武富士の倒産と消費者金融業界の動向
- 株主への配当 現金流出で残余財産が減少する
- 倒産後の債権者への配当 残余財産からの配当
株主に対して配当金を支払えば、会社の自己資本と現金が減少します。武富士が、多額の過払い金返還を抱える中で配当を行えば、手元資金の減少で倒産が早まることになります。武富士の大株主には武井一族の名前がありますが、資産管理会社を含めた資金流が少し気になりますね。
ローン総量規制対象外と破綻は、消費者金融業界に大きな影響を与えており、武富士が倒産するきっかけとなっています。ローン総量規制対象外の融資として、おまとめローンなど借主に有利になるものもあるうえに、審査のゆるいカードローン比較通過と破綻を見ると、短期融資ならば融資金利を免除するサービスも行っているようです。武富士が倒産した頃と比べると、消費者金融からの借入返済や新規借入は状況が変化しているようですね。
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