(1)融資審査と倒産
融資の審査は担保だけでなく、企業業績や個人の収入など信用力で通りやすい場合があります。武富士は消費者金融ですので、銀行融資を受けられない個人に対して無担保融資を行ってきましたが、過払い金訴訟で倒産していますね。SFCGは東京証券取引所一部上場の商工ローン大手として有名でしたが、2009年2月に民事再生を申請して倒産した後に、破産で倒産しています。SFCGは債権回収が社会問題となりましたが、粉飾決算による倒産、管財人による脱税の追及などでも問題になってますね。
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(2)SFCGの会社概要と商工ローン大手
- 1978年 株式会社商工ファンド設立
- 1984年1月 東京都に貸金業登録
- 1984年7月 不動産担保貸付を始める
- 1985年2月 有価証券やゴルフ会員権を担保とした貸付を始める。
- 1988年2月 仮登記担保貸付を始める
- 1997年10月 東京証券取引所2部上場
- 1999年7月 東京証券取引所1部
- 2002年11月1日 株式会社SFCGに社名変更
- 2005年11月25日 貸金業法違反で関東財務局が業務停止命令
- 2007年7月時点 リーマンブラザーズから734億3300万円の融資残高
- 2008年9月時点 リーマンブラザーズから52億9000万円の融資残高
- 2009年2月23日 東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請
- 2009年3月16日 Jファクター貸金業法違反で貸金業登録を取り消し
- 2009年3月23日 SFCG会長が、粉飾決算による18億の違法配当で刑事告発
- 2009年3月24日 東京証券取引所から上場廃止
- 2009年4月21日 破産手続開始決定
- 2010年6月16日 SFCG元会長などが資産隠しなどで逮捕
SFCGは商工ファンドとして、貸金業登録を行っていましたが、銀行融資を受けることの難しい中小企業を対象にして積極的な融資を行ってきました。商工ファンドは厳しい融資回収が社会的な非難を集めていましたが、東京証券取引所の1部上場銘柄となっていました。
SFCGは資金繰りをリーマンブラザーズからの融資に依存していましたが、リーマンショックの前後で融資残高が大きく減少していることが分かります。SFCGのように、資金繰りを圧迫された貸金業者は貸し剥がしを猛烈に行いますが、過払い金請求などにより資金繰りが悪化していたようですね。
(3)SFCGは商工ローンの大手
- 過払い金返還訴訟
- 損害賠償請求が融資取立てで相次ぐ
- 債権の二重譲渡 日本振興銀行と新生信託銀行
- 税金滞納で銀行預金の差し押さえ
- 粉飾決算による違法配当で刑事告発
- SFCGが倒産前に不動産担保ローンなどの資産を譲渡
- SFCG破産管財人 2008年10月以降 貸付債権約1420億円分を無償譲渡や安値売却
- SFCG破産管財人 2009年2月の民事再生申請直前 子会社株式など約1238億円を譲渡
計画倒産のメリットについてまとめましたが、会社を倒産させることで社員や取引先への支払いを可能な限り行うことが重要になります。倒産すると裁判所が管財人を任命して、資産の処分と資産隠しがないのか、企業の取引をさかのぼって調査することになります。
SFCGは倒産前に多額の資産隠しを行っていると破産管財人が指摘しており、刑事告発や裁判で訴訟が継続していますね。SFCGの倒産について、計画倒産による詐欺が指摘されていますので、2013年11月1日の時事通信を見てみましょう。
(4)不動産担保ローン債権の譲渡と計画倒産
- 商工ローン元会長 民事再生法違反 詐欺再生
- 2008年12月 SFCG保有の不動産担保ローン債権 簿価約418億円
- 2008年12月 SFCGから実質無償で譲渡
- 2009年2月 民事再生法を申請して倒産
- 2013年11月1日 東京地裁で検察が懲役8年を求刑
SFCGのように倒産直前に、融資債権や資産などを大幅に移動すると、管財人が資産調査を行い悪質と判断した場合は刑事告発を行うことになります。企業再生の手法として、倒産を薦めるコンサルタントもいるようですが、資産隠しはリスクが高いので比較検討して法令順守が重要ですね。
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