(1)特別清算による倒産
企業の倒産と聞くと、業績悪化による資金繰り倒産を思い浮かべる方が多いと思います。企業は、銀行から借金をしている会社が多いので、借金返済が困難となり倒産することはよくありますよね。資金繰りによる倒産以外にも、株主総会で会社解散の決議を行って倒産する事例もあります。上場企業のグループ再編によるリストラの場合が多いですが、中小企業の場合、会社分割による再生や廃業を行う場合がありますね。
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(2)ロームつくば特別清算で倒産
ロームつくば倒産の理由について、2013年9月13日帝国データバンクが、ロームつくば、特別清算開始決定受けるを報じているので見てみましょう。- 2013年6月30日 ロームつくばが株主総会で解散を決議
- 2013年9月4日 水戸地方裁判土浦支部 特別清算開始決定
- ロームつくばの負債 親会社がほとんどで約115億円
倒産はいくつかの種類はありますが、民事再生法や会社更生法と比較すれば、特別清算の意味合いは大きく異なります。ロームとロームつくばの取引関係を考えると、業績に与える影響は限定的と思いますが、その理由について簡単に見てみましょう。
(3)ロームのグループ企業間取引と債権
- ロームつくば債務/ローム債権
- ロームへの影響 ロームつくばへの債権が消滅
- ロームつくばへの影響 ロームへの債務が消滅
- 連結決算では親子取引は相殺されているため影響はない
ロームつくばの負債は、ローム向けの債権が主ですので、連鎖倒産や取引先の資金繰り悪化などの影響は事実上ないと思います。ロームつくばは倒産していますが、ロームとロームつくばグループ企業ですので、上記のように債務と債権が打ち消されますので決算にほとんど影響はないと思います。
ロームつくば倒産によって、設備の廃棄や生産拠点の統廃合により、除却損や不動産売買で何らかの損失がでるのかは気になりますね。ロームの業績悪化について少し解説しましたが、ロームつくば倒産の理由はグループ企業の再編によるリストラのようですね。
(4)ロームつくばの会社概要と生産品目
- ロームつくば 電子部品の製造業者
- 2003年10月 前身会社の工場譲渡で設立
- ロームの製造工場部門 トランジスタ、ダイオードなど半導体素子製造の前工程
- MOSFETなどを生産しており、多くの家電メーカーが採用
ロームは、2013年3月期決算で営業損益が株式上場後はじめて赤字となっているうえに、最終損益が500億円を超える赤字に転落しています。
- ローム2012年3月期決算 当期純損失161億円
- ローム2013年3月期決算 当期純損失525億円
ロームの2012年3月期決算は161億円の赤字となっていますので、3倍を超える赤字拡大となっていることが分かりますね。ロームは自己資本比率が85%超、自己資本が6100億円を超えていますのですぐに倒産することはなさそうですが、業績が大きく悪化していることが分かります。
(5)ロームのリストラ
- ロームグループで生産拠点を再編
- ロームつくば 生産拠点の効率化のため事業を停止
- ロームつくばの生産品目は移管し生産継続
- 2013年末従業員数 約80人
- 従業員は割り増し退職金を支払い解雇
ロームは業績が悪化していますので、グループ企業のリストラを進めています。ロームが業績不振であるということは、工場稼働率に余力がでているはずですので、ロームつくばの生産品目は移管が行われたようですね。
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