日本ロジテック倒産の理由

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日本ロジテックは、電力小売事業が100倍以上に成長しており、電力自由化の波にのりました。インフラ事業は、巨額の初期投資が必要になるため、中小企業は生き残れないということですね。


(1)電力販売競争の激化

水道光熱費は、電力会社やガス会社が民営化されており、あらゆる業者の中でも安定的に稼げることは有名な話でしょう。電力会社は、地域独占により電力の安定供給が優先されてきたため、安定的な収益を確保することができました。

電力株は、為替変動や原料高を電力料金に簡単に上乗せできるため、安定的に高配当を得られる銘柄として人気でした。東日本大震災は、電力会社の社会的な信頼が崩壊しただけでなく、原発停止により赤字転落が続出しました。

国は、家庭用電力市場自由化の政策を進めているため、ガス会社やオリックスなどの新規参入が相次いでいます。電力会社は、業績の安定している好待遇の大企業として有名でしたが、電力自由化は人件費などのコスト削減が始まるでしょうね。
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(2)日本ロジテックの会社概要

  1. 2007年 事業共同組合として発足
  2. 2010年 電力小売事業に参入
  3. 共同流通センター運営が設立目的
  4. 電力小売事業
  5. ETC割引制度共同利用事業
  6. 外国人技能実習生の受け入れ事業
日本ロジテックは、電力自由化の旗手として注目されており、倒産による自治体の損失が話題になりました。日本ロジテックは、電力小売事業を目的に設立されたものではなく、共同流通センター運営が設立の目的でした。

日本ロジテックは、協同組合として発足しているため、主力として事業の関連性が薄いと言えます。電力自由化は、小売市場の拡大に繋がったため、日本ロジテックはビジネスチャンスを生かしたということでしょう。

日本ロジテックの業績は、電力取扱量の拡大により急速に増加しており、電力小売事業が主力ビジネスとなっています。電力市場は成長市場のため、大手企業による参入競争が激しくなっているため、本格的な競争により倒産したということですね。

(3)日本ロジテックの業績は3年100倍に拡大

  1. 2012年3月期売上高 約4億円
  2. 2015年3月期売上高 約556億円
  3. 2015年3月末時点 組合員が約700団体
  4. 上場企業などとの業務提携を一気に拡大した
  5. 日本ロジテックが直接の発電施設建設を行いはじめた
  6. 急速な業績拡大と設備投資により資金不足が発生しやすかった
日本ロジテックは、電力小売事業が急速に拡大しており、3年間に100倍以上の規模になっています。日本ロジテックのビジネスモデルは、調達した電力を割安に購入して、消費者に販売する電力卸売会社のようなもです。

日本ロジテックは、発電所をほとんど保有していなかったため、利益は出にくかったということですね。売上高の拡大は、運転資金需要が急速に増加するため、銀行融資による運転資金調達が重要になります。

年商の1か月分は、運転資金として最低でも現金確保すべきと言われており、売上高の拡大は資金繰りが厳しくなります。日本ロジテックは、売上高が急速に拡大しただけでなく、発電所建設による設備投資も行っているため資金繰り破綻したようなものですね。

(4)日本ロジテックのビジネスモデルは資金繰りが厳しい

  1. 仕入 自治体や公共施設の電力
  2. 売上 大口需要者に電気を販売する
  3. 日本ロジテックは卸売のため利益が小さい
  4. 日本ロジテックは発電所建設による先行投資の負担
  5. 日本ロジテックは新エネ市場のシェア5位のため微妙なポジション
電力ビジネスは、発電所の建設による先行投資だけでなく、石油や石炭などの原料価格変動がリスク要因になります。電力卸売業者は、自前の発電所を保有していなければ、ローリスクローリターンのビジネスモデルと言えます。

地域独占は、電力会社に莫大な利益をもたらしてきましたが、電気の安定供給にも繋がってきました。電気代は、総括原価方式により設備投資コストを上乗せできるだけでなく、原料価格が変動しても値上げすることが認められています。

日本ロジテックは、市場シェア5位の微妙なポジションのため、安定的に収益を得にくい状況です。成長市場は、大手企業の参入により競争が激しくなるため、日本ロジテックは競争に勝ち抜くことが難しかったと言えますね。

(5)電力ビジネスのポイント

  1. 参入障壁が低い
  2. ブランド化が難しい
  3. 発電所建設の初期投資が必要
  4. 発電所建設のために信金調達力が重要
  5. 社会インフラ事業は中小企業は倒産しやすい
送電会社は、発電会社や電力小売会社と分離するため、電力ビジネスの参入障壁が小さくなっています。電力会社は、地域独占を続けることができた理由は、地域の送電網を独占してきたことが大きかったからです。

電気は、コカコーラやiPhoneのように差別化するブランドがないため、電気代や安定性が何よりも重要になります。巨大発電所は、電力の価格競争のために不可欠になりますが、数百億円から数千億円の投資が必要になります。

オリックスの関西国際空港運営会社買収が儲かる理由をまとめましたが、大企業は資金力や信用力があるため、社会インフラ事業を中小企業が手掛けるのは困難です。日本ロジテックは、業歴が浅いだけでなく十分な資金力もないため、電力ビジネスで勝ち残ることは難しかったということですね。

(6)日本ロジテック破綻の影響

  1. 2016年2月 約40億円の電力買取料金滞納
  2. 電力会社への送電線使用量の未払い
  3. 契約者は電力契約の切り替え対応が必要
  4. 自治体は税金とは違うため不良債権が発生
  5. 自治体は電力事業の収入減少リスクが発生
日本ロジテックは、電力卸売り会社のため、自前の設備をほとんど保有していない会社になります。日本ロジテックは、送電線使用料や電力購入料金を支払うことにより、契約者に電力を販売することできます。

自治体は、税金であれば優先債権になるため支払を優先されますが、電力販売は一般債権になります。日本ロジテックに、自治体が売却する電力は、既に歳入として予算に組み込み使っているところもあるでしょう。

日本ロジテックの倒産は、独立系電力ベンチャーは、財務基盤が脆弱なためリスクが顕在化したということです。電力自由化は、大手企業や中小企業が入り乱れて500社以上参入していますが、財務基盤が弱い会社もあるため比較するときに注意が必要になりますね。
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