破綻バイオ企業 林原の真実 歴史と粉飾決算

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破綻バイオ企業 林原の真実を林原靖専務が執筆しています。林原の歴史と粉飾決算の背景を見ると、高収益の研究開発特化企業は世間の幻想で、製造業として投資回収を行えなかったようですね。


(1)粉飾決算と倒産

銀行融資は取引先の決算書を分析した上で融資を行いますが、ほとんどの企業は銀行融資や証券市場から資金調達できなければ、すぐに倒産することになります。半沢直樹が東京中央銀行で活躍している姿が話題になりましたが、半沢直樹のように有能な銀行員が多ければ倒産危機の企業を支えたり企業再生で経済が発展します。

企業は現金が不足すると倒産しますので、粉飾決算などを行って融資詐欺を行う事例があります。エステート24ホールディングスは融資詐欺で捜査が行われていますが、林原の粉飾決算は事例が大きく異なりますね。

林原の粉飾決算について林原の元専務である林原靖さんが、破綻バイオ企業林原の真実を出版していますので、その内容について見てみましょう。林原の経営者一族で経理責任者で、粉飾決算の解消について素早くするべきだと言う意見もあると思いますが、非常に説得力のある内容で銀行や弁護士批判が行われています。
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(2)林原の歴史 相続失敗と本業の危機

  1. 岡山の名門企業
  2. 三代目の林原一郎が、水あめ製造で、企業規模を一気に拡大して全国区に
  3. 林原一郎の急死のお家騒動で、独立した名門企業が多い
  4. 林原グループは、林原本社とカバヤ食品が子会社株式を半分ずつ所有
  5. 1961年4月17日 林原一郎52歳ガンで死去 林原健19歳で後継社長に就任
  6. 実務は番頭が代行 本社の実印は英子(一郎の妻) 子会社の実印を次郎(一郎の弟)
  7. カバヤのキャラメル カードを集めるカバヤ児童文庫をもらえることで人気
  8. カバヤ食品の独立後に変則増資で林原本社の支配力が低下
  9. カバヤ食品 オハヨー乳業 新聞社などが続々と独立
  10. 林原の本業は 水あめ製造の過当競争と砂糖の自由化で倒産危機
  11. 22歳で林原健社長が社長就任
林原はバイオ企業に転進する前は、水あめ製造を行い戦後の需要を獲得して、1950年代に日本一の水あめ業者に成長しています。林原一郎さんは、買収を繰り返して企業規模を拡大しており、食品会社、ホテル、新聞社、製紙、運輸、印刷、倉庫、観光、不動産など大きく事業を拡大しており、岡山の名門企業に成長させています。
  • カバヤ2012年12月期 売上高268億
  • カバヤ2012年12月期 経常利益9.5億円
  • カバヤ2012年12月期 自己資本比率65.0%
林原グループは、カリスマ社長が早世したことで主要企業や子会社の独立などが相次いだようですね。林原グループの主力企業であったカバヤの業績を見ると、2012年12月期は高い利益率を計上しているうえに、財務体質が非常によいことが分かります。

林原健社長は林原一郎さんが亡くなってから社長を引き継いでいます。林原健さんが社長を引き継いだときの林原グループは、子会社の分離独立や本業の不振で事業基盤が揺らいでおり、倒産危機であったと言えますね。

(3)林原がバイオ企業として成功

  1. 林原健が林原一郎が晩年取り組んだ微生物の産業利用推進を決断
  2. デンプン加工業からデンプン化学工業へ第二創業
  3. 1966年8月 林原健が上記の経営方針を発表したところ、従業員の半数が退職
  4. 1968年 デンプンを100%麦芽糖に変える世界初の技術開発に成功
  5. 点滴用医薬品マルトース 大塚製薬と共同で開発 点滴時間の半減や糖尿病に効果的
  6. 林原はマルトースの成功で業績改善に成功
林原健社長は、水あめの製造の過当競争と砂糖の自由化による倒産危機に対して、新たな分野に経営資源を集中することを決断しています。林原が提携した大塚製薬はポカリスエットで有名であり、2010年12月15日に大塚ホールディングスが上場しており時価総額1兆円規模となっていますね。
  • 林原のマルトース点滴時間の短縮 ブドウ糖輸液の2倍を栄養補給
  • 林原のマルトース糖尿病に効果的 インシュリンの分泌をうながさない
  • 林原のマルトース手術現場で活用 手術時に擬似糖尿病になる患者に活用
林原が大塚製薬と共同開発に成功したマルトースは、上記のようなメリットがあるため、製薬認可をスムーズに取得して多くの医療現場で受け入れられたようですね。林原はマルトースの成功で、倒産危機から復活すると同時に、利益を元手に研究開発を一層加速させていきます。

(4)林原の製品開発

  1. 1973年プルランの開発 植物性のデンプンから作った食べられるプラスティックのフィルム
  2. プルランは開発から35年後にBSE問題で注目される
  3. インターフェロンの大量生産 ハムスターの交配により独自の量産技術を確立
  4. インターフェロンをヒト細胞で培養するよりも管理が容易で安全性が高い
  5. インターフェロンの製薬化 大塚製薬の大塚明彦会長に打診(当時は社長)
  6. 1994年トレハロースの大量生産技術を開発
  7. トレハ星人のCMが有名に 博報堂製作
林原はマルトースによる利益を元手に、研究開発を積極的に行い製品開発に成功します。林原の製品で最も有名なのは、トレハロースですが、林原靖専務がカーギルと交渉したり工場建設の資金を子会社売却で捻出したなどの特徴がありますね。

林原靖専務は、林原のトレハロース販売権利の交渉や子会社売却の交渉などで、海外販売の成長余地確保や資金捻出を行っています。林原靖専務の分析によると、林原が工場での製品製造に目を向けなかったことが財務体質の悪化に繋がったようですね。

リソー教育の粉飾決算 債務超過で上場廃止か見ると、上場していれば社債や公募増資で資金調達をしていることが分かります。林原は技術力の高い会社として注目を集めていましたので、上場企業であれば粉飾決算を行わず資金調達に成功していた可能性が気になりますね。

(5)林原の海外交渉と上場子会社の売却

  • カーギル トレハロースの海外代理店契約解除の交渉
  • キャドバリー 子会社の三星食品株式(ヘラクレス上場)を売却交渉
  • キャドバリー 2007年6月TOBを発表 直近の株価に7割のプレミアム
  • 林原グループ 株式の売却により60億円を調達 トレハロース量産工場の建設資金に
林原靖専務は、林原のトレハロース事業について海外の巨大大企業と交渉を行っています。林原は、子会社の三星食品株をキャドバリーに売却することでトレハロース量産工場建設の資金調達に成功しています。林原靖専務は、キャドバリーの社長と本音で友好的な交渉を行い交渉は30分で解決、キャドバリー社長と直接交渉を約束することに成功しています。

林原はキャドバリーと友好的な交渉を行っており、キャドバリーは三星食品の株価に大幅なプレミアムで買収価格を設定しています。林原靖専務は、トレハロース量産工場の資金調達であることも伝えていましたので、TOBに応募して林原グループが保有する約44%の株式を売却しています。

林原は三星食品売却で得た資金で、トレハロースの新しい量産工場建設を行い、多額の収益を得ています。トレハロースは食品や化粧品、医薬品など幅広い用途で使われていますので、菓子パンなどの含有物を見ると含まれているかもしれないですね。

(6)林原の研究開発企業の真相 粉飾決算の背景

  1. インターフェロンの販売失敗
  2. バブル崩壊で岡山駅前不動産などの資産価値下落
  3. 林原は総資産が借入金を超えていたが高金利の金利負担が業績に影響
  4. 1998年秋 林原健社長に林原靖専務と松田常務が直言
  5. 1500億円を超える借入金があるためリストラが必要
  6. 自社工場はあったが稼動させずに技術流出
  7. 技術供与を積極的に行ったため工場稼働率が大きく低下
  8. 自社工場で粗利50% 100億円規模で研究開発費50億円が捻出可能
  9. 技術供与の特許収入5% 相手先が1000億円規模で50億円の収入
林原が粉飾決算を行った背景について、林原靖専務が分析していますが上記の通りとなっています。林原は研究開発企業としてマスコミなどに注目されていましたが、林原専務は林原の広報戦略で研究成果を発表した結果で収益に貢献していないと否定的ですね。

林原のビジネスモデルを見ると技術供与を行うことで、すでにある自社工場の工場稼働率が低くなり減価償却費などで財務面に打撃を与えていたことが分かります。林原靖専務の分析を見ると、ビジネスモデルで致命的だったのは、自社工場を活用すれば一回り小規模の成功で採算がとれたものの、特許収入に依存すると大規模な成功でなければ採算がとれなかったことですね。

林原の成長と粉飾決算を行った背景を見ると、研究開発企業の特化企業というビジネスモデルは、不動産など資産価格が上昇しなければ無理があったことが分かります。融資返済と林原倒産 銀行と弁護士を見ると、林原は黒字倒産で債権者に対して90%以上の弁済を実現しています。林原は、銀行や弁護士を信頼して付き合っていた可能性がありますが、何事もほどほどの付き合いが重要ということでしょうね。
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