(1)企業の倒産と再生
企業は、業績好調に見えても思わぬ出来事で倒産することがあります。中国に進出した企業が、業績好調な中、従業員が労働争議で設備を壊して、2ヶ月程度で倒産に追い込まれています。
上場企業も例外ではなく、粉飾決算を突然公表して、民事再生を申請して倒産する企業もあります。超大企業でない限り、一見すると業績好調に見えても、倒産することはよくありますね。
(2)旧サン・ジャパンが破産
スターズ倒産の理由について、2013年7月29日の帝国データバンクが、大阪 旧・(株)サン・ジャパン 破産開始決定を報じているので見てみましょう。2012年7月24日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けていた(株)スターズ(TDB企業コード:581303768、旧・(株)サン・ジャパン)(資本金1億7125万円、大阪市淀川区西中島4-12-5、代表田中照壽氏)は、7月25日に同地裁より破産手続き開始決定を受けた。スターズは民事再生法を申請して再生手続きを行っていましたが、破産しており企業再生に失敗したようですね。
(3)パルプ製品製造業者
当社は、1990年(平成2年)2月に設立したパルプ製品製造業者。トイレ、フローリングの掃除用不織布シート、キッチン用不織布シート、ウェットティッシュを中心に製造し、粘着ロールやクラフトテープなども扱っていた。スターズはパルプ製品製造業者として、業容を拡大していたようですが、突然、失速しており中小企業は業績が不安定であることが分かりますね。スターズの経営拡大と倒産から民事再生失敗までについて見てみましょう。
(4)取引先の開拓で事業拡大
- 大阪と愛媛に本社
- 東京や名古屋、福岡など大都市に営業所を開設
- 大手100円ショップチェーン、有名ベビー用品店、大手量販店など、PB商品のOEM受注
- 2003年3月 中国に現地法人をには生産拠点として設立
- 愛媛県に大型物流センターを開設
- 2009年8月期 売上高約84億2700万円
スターズは中国現地法人の設立や大型物流センターを開設するなど、業容拡大に向けて設備投資を繰り返していたようですね。
(5)新工場の稼動遅れと不良品で業績悪化
- 2010年には香川県に大規模なクラフトテープ工場を開設
- 2011年8月期 売上高約73億2000万円 新工場稼動の遅れや受注低迷
- 2011年1月頃 クラフトテープの接着面が剥離する不良品が発生で主力得意先の発注ストップ。不良品の返品により収益面も大きく悪化
- デリバティブ取引による大口の損失も発生により赤字
スターズは中国の生産拠点から輸入を行っていますが、デリバティブ取引による損失は、輸入のドル建て取引で失敗した可能性が高いですね。レモール倒産と民事再生を見ると、輸入の為替デリバティブ契約に失敗していることが分かります。中小企業はリーマンショックなどで大幅な為替レートの変動があると、経営危機になる倒産する可能性もあることが分かります。
(6)経営者の交代で信用不安
このため、得意先との取引回復に向けて不良品の再発防止を図ったものの、2012年に入り、親会社である(株)サン・ジャパンホールディング(同所)の度重なる代表交代などから取引先の間で信用不安が拡大。スターズの設備投資を見ると、売り上げ拡大を前提としていた計画が崩れていたことに加えて、取引先との信頼関係再構築に迫られていますね。
スターズなど中小企業は、経営者の経営能力に企業動向が大きく左右されますが、代表者交代が繰り返されると、取引先はお家騒動を危惧して取引を回避することは当然ですね。
(7)債権者集会の直後に民事再生法の申請
その後も受注が回復しないなか、4月には金融機関に元本返済猶予を要請、関係先から資金を調達して凌いでいた。7月19日、20日には関係者説明会を開いて支援を要請していたが、資金調達が限界に達し、約98億5100万円の負債を抱え、7月24日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請していた。スターズは民事再生法の申請により倒産していますが、関係者説明会の直後に倒産しており資金繰りが限界であったことが分かります。スターズは金融機関に元本返済猶予を2013年4月に要請しており、借入金の返済余力がなかったことが分かりますね。
(8)企業再生失敗により破産
その後、自主再建を目指していたものの奏功せず、今年2月20日に関係会社に主要事業を譲渡。数度にわたり再生計画案の提出を延期していたが再生計画案の不提出を決定し、7月1日に再生手続き廃止および保全管理命令を受けていた。なお、6月27日に(株)サン・ジャパンから(株)スターズに商号を変更している。スターズは民事再生手続きにより企業再生を目指していましたが、再生失敗により破産に切り替えています。スターズ倒産を見ると、売上好調な企業であっても不良品発生をきっかけに倒産したり、企業再生が困難であることが分かりますね。
0 件のコメント:
コメントを投稿