オーエンス倒産の理由

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オーエンス倒産の理由を見ると、環境の変化が要因のようですが、デリバティブ取引の失敗が大きな原因となっています。オーエンスは、高い技術力を背景にデンソーなど大手企業との取引に成功していますので、スポンサー企業が現れるのか注目ですね。

(1)連鎖倒産と経営悪化

企業取引は、現金取引よりも買掛金や支払手形による取引が一般的であると言えます。企業が倒産した場合、取引先が保有する売掛金や受取手形は、一般債権として全額回収できない場合が、ほとんどであると言えます。

倒産した企業に対して、債務保証を行っていた場合、借金を支払う必要がでてきます。債務保証を行っている企業が、負債を支払えない場合に、連鎖倒産する事例もありますね。

(2)オーエンスとサンオオカワが民事再生法の申請

オーエンス倒産の理由について、2013年6月7日帝国データバンクが、円高、震災、タイ洪水も影響、愛知の自動車用電子部品メーカーが破綻したことを報じているので見てみましょう。
(株)オーエンス(TDB企業コード:400325203、資本金4000万円、愛知県愛知郡東郷町春木岩ヶ根2、代表大川勝平氏、従業員62名)と、関係会社の(株)サンオオカワ(TDB企業コード:401145907、資本金1000万円、同所、同代表、従業員7名)は、6月7日に名古屋地裁へ民事再生法の適用を申請した。
オーエンスと子会社のサンオオカワが、民事再生法の適用を申請して倒産しています。オーエンス倒産の理由は、災害による受注減少と同時に、為替デリバティブの失敗により経営が悪化したことが原因ですね。

子会社が取引を行うときに、親会社の信用力に頼ったり連帯保証を行うことはよくあります。オーエンスの倒産により、サンオオカワは連鎖倒産していますが、関係会社の連鎖倒産はよくありますので注意が必要ですね。

(3)販売先の拡大

(株)オーエンスは1975年(昭和50年)6月創業、77年(昭和52年)12月に法人改組。主にプリント基板を含む各種産業用電子機器向け部品製造を手がけ、自動車電装部品を中心に電動工具、家電・弱電部品、遊技機業界に供給していた。
オーエンスは、販売先の拡大を進めることで、自動車電装部品など高い技術力が必要な分野と同時に、遊技機業界へも取引先を拡大しています。オーエンスはホームページで、取引先にデンソーやマキタ、日本特殊陶業があることを公表していますが、自動車メーカーでTier1の企業と取引を行っているということは高い技術力があるということですね。

(4)高い利益率と高額納税法人

開発から設計・製造まで自社で一貫体制を構築、その技術力が顧客から一定の評価を獲得し、最盛期の92年6月期は年売上高約45億1400万円、申告所得約3億4800万円をあげるなど、高額納税法人として事業基盤を形成していた。
オーエンスは、取引先から高い技術力が評価されたことで、売上高の拡大と高い利益率の両立を行っています。技術力の高い企業であっても、自社で一環体制を築けなければ下請けとして低い利益率にとどまる企業もあります。

オーエンスの申告所得は売上高と比較すると高い水準であり、高額納税法人として地元にも貢献している優良企業であったようですね。オーエンスのような中小企業の場合、災害など急激な環境変化があると、優良企業でも経営危機に陥ることになります。

(5)災害で売上高が減少

しかし、リーマン・ショック以降、景況が大きく後退、さらにタイの洪水騒動や東日本大震災発生によるサプライチェーンの寸断などが追い打ちをかけて受注減少を余儀なくされたため、2012年6月期の年売上高は約14億4700万円に落ち込んでいた。
オーエンスは、取引先を拡大してきましたが、災害による環境の変化で売り上げ高が大きく減少していることが分かります。
  • 1992年6月期売上高 約45億1400万円
  • 2012年6月期売上高 約14億4700万円
オーエンスの売上高が、3分の1以下に激減していますが、取引先の動向以外にも、為替取引の影響が大きかったようですね。アクロス倒産と民事再生を見ると、オーエンスの売上減少と同様に、東日本大震災による影響を受けていることが分かります。オーエンスのように東日本大震災の影響と同時に、民主党政権による為替レート円高ドル安政策が重なった結果、幅広い業種の倒産が2011年と2012年は相次いでいたと言えそうです。

(6)為替デリバティブによる損失で債務超過

この間、為替デリバティブ評価損の発生も加わり、とりわけ2008年6月期以降は毎期2億円以上の最終損失計上を強いられ、大幅な債務超過に陥っていた。
オーエンスは取引先にアイシン精機やマキタなどの一流企業が名前を連ねていますが、海外に生産拠点を保有していないようですね。オーエンスの為替デリバティブは、為替ドル円かプリント基板に用いる金属によるものと思いますが、リーマンショックで多額の損失を計上しているようですね。

デリバティブ倒産 民主党政権の影響でまとめましたが、リーマンショックの後も為替レート円高ドル安が長期間継続していたため、為替デリバティブ評価損の発生が続いた可能性が高いですね。オーエンスは、民主党政権による為替レート円高ドル安政策で倒産しており、政権交代が早ければ会社は存続していた可能性が高いですね。

(7)借入金の増加と債務超過

中小企業金融円滑化法の利用とともにリストラにも取り組んだものの減収傾向に歯止めがかからず、年商規模を上回る借入金が固定化。さらに多額の減価償却費なども負担となっていたところ、ここへきて資金繰りがつかなくなったことから、今回の措置となった。(株)サンオオカワは、2000年(平成12年)4月設立。(株)オーエンスの資材調達の窓口として同社への供給を主体としていたが、連鎖した。負債は(株)オーエンスが約29億2200万円、(株)サンオオカワが約1億2580万円で2社合計約30億4780万円。
オーエンスの為替デリバティブが、ドル円によるものであれば、民主党政権による為替レート円高ドル安政策が是正されていますので、業績は回復しているはずです。為替レートが円高ドル安になれば輸入企業が有利に思えますが、為替デリバティブ契約を行っていた輸入企業は財務が悪化しているのが真相ですね。
  1. 為替デリバティブにより購入したドルを、円安ドル高になる前に早期に売却した
  2. 金属デリバティブなど為替デリバティブ以外による損失の可能性
オーエンスは海外工場を保有していないので、デリバティブ損失は、海外への輸出か原料の輸入に起因するものの可能性が高いです。レモール倒産と民事再生は、自社工場の製品を日本に輸入するときに、ドル建ての支払いを行っていましたので、輸入契約に関する為替デリバティブですね。

(8)中小企業の倒産と再生

オーエンスは民事再生法の申請により倒産しましたが、大手企業と取引のできる高い技術力を持つ会社のようですので、スポンサー企業がどこか現れるのか注目ですね。

石渡工業 倒産の理由は金融円滑化法が終了した影響があるようですが、中小企業が環境の変化に対応を失敗しすると倒産することが分かりますね。建設業界は業況が特に厳しいため、公共事業による需要拡大があっても、原価の上昇を乗り切る必要があります。

八街工業 倒産の理由を見ると、高い技術力が評価されていたものの、設備投資による借金の負担と利益の減少による資金繰りの悪化で倒産しています。自動車業界は裾野の広い産業であり市場規模も大きいですが、国際的な競争による値下げ要求も厳しいため、生き残るのも難しいですね。
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