貸しはがし対策と倒産(3)

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銀行はバブル期に投機資金の融資を行っていましたが、バブル崩壊により担保価値が低下しており、貸しはがしにより倒産した企業が多いです。貸しはがし対策が十分でないことが社会問題になりましたが、現在は厳しく規制されていますね。

(1)粉飾決算と銀行融資

中小企業は、決算が赤字や債務超過の場合、銀行融資が困難になりますので粉飾決算を行うことがあります。銀行は暗黙の了解で見逃していたことを、佐藤真言さんが指摘していますが、金融庁の金融検査厳格化で雲行きが変わっていきます。

金融庁は企業倒産や業績悪化による、金融不安を警戒しており、銀行が信用リスク格付制度で融資先を厳格に判定することを義務にしています。
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(2)銀行融資で銀行株式の購入と貸しはがし

貸しはがし対策、倒産と銀行融資について、佐藤真言さんの『粉飾 特捜に狙われた元銀行員の告白』のp69とp70に、銀行の貸しはがしと中小企業のやりとりがあるので見てみましょう。
「社長、いいですか。次回の書き換えからは返済額を増額してもらわないと融資が通らないですよ」 
「そんなこと言ったってさ、毎月十万円が限界だよ。こないだの書き換えで三万円増額したばかりじゃないか。しかも、この借入金は買いたくもないお宅の株を買う資金としてお宅が無理やり貸したものじゃないかよ」
貸しはがしとして、銀行員が融資を回収しているものの中には、事業目的以外の貸し出しが含まれていることが分かります。銀行融資の貸しはがし対策として、現在、こういった対応があれば、金融庁から通達がでていますので、強引な融資回収を行っていれば指導対象となる可能性がありますね。

貸しはがし対策として考えられるのは、倒産の可能性がある企業から、禁止されている融資を回収しようとするのは、現在でしたら金融庁に通報を考える人がいるかもしれないですね。

(3)銀行員が融資の条件に株式の購入を依頼

聞けば、今から十年前に第一勧業銀行の営業担当者が、融資をするから株を買ってくれないかとこの社長に持ちかけて株を買わせたらしい。「絶対に値上がりする。損はさせない」とも言ったらしい。
銀行員が融資を条件に株式の購入を依頼したとすれば、優越的な地位の乱用の可能性が高く、銀行員が株式の販売を持ちかけていれば、処分の対象の可能性がありますね。
銀行員が株式を絶対値上がりすると説得したとして、融資を行っているとすれば、投資詐欺の決まり文句とあまり変わらないですね。銀行の貸しはがしで倒産した会社の中には、銀行都合の融資により経営が悪化した企業も少なくなさそうですね。

(4)投機資金の銀行融資は禁止

第一勧業銀行の株購入資金を銀行が融資する。こんなことが現実に行われていたのだ。銀行の新入研修では、株購入資金は投機資金であるため、銀行の融資にそぐわないと教えられている。
銀行は融資を行う際に、資金使途を確認しますが、融資実行後に資金流用されていないか確認します。銀行が株購入資金を融資したとしても、株式で損失が発生したときに中小企業は倒産する可能性が高まりますので、不良債権の山になるでしょうね。

(5)貸しはがしは、財テク資金を中小企業に融資したもの

さらにその融資の使途が、株、ゴルフ会員権、土地、マンションなどだったのだ。 
すなわち、財テク資金を銀行が主導して中小企業に融資し、当初はそれらの担保としての価値が十分だったために返済を猶予していたが、バブル崩壊後、担保としての価値が下落したことにより、銀行側が急きょ返済を要求したため、融資先側の中小企業の資金繰りが狂ってしまったケースが多い
銀行融資について、バブル経済期に多額の財テク資金を貸し出したことに対する批判は多いですね。
  1. 財テク資金の貸し出し
  2. 株、ゴルフ会員権、土地、マンションなどの購入
  3. 好景気
  4. 株、ゴルフ会員権、土地、マンションなどの値上がり
  5. 財テク資金の貸し出し増額
  6. 財テクの資金増加
  7. バブル崩壊
  8. 資産の値下がりで、融資を返済できず
銀行の投機資金融資による多数の企業と多額の不良債権が発生しましたが、粉飾 佐藤真言と北海道拓殖銀行倒産の真相(1)でまとめましたが仕組みは上記の通りです。

貸しはがし対策がとられなかったことにより、中小企業の倒産が多数発生しましたが、銀行の無理な融資が背景にあったことが分かりますね。
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