(1)債務保証と倒産
会社が倒産すると、債務保証をしている会社が倒産することがあり、連鎖倒産と言われることがあります。日本原子力発電が倒産した場合、債務保証や株式出資している会社は、損失の計上などの影響を受ける可能性がありますね。家計で例えると、連帯保証人になる融資を受けた人が融資返済に行き詰ると、代位弁済する必要がでてくることがあります。経営悪化している企業の債務保証を行うと、隠れ借金があるのと変わらないということですね。
(2)日本原子力発電を日本原燃が資金繰り支援
日本原子力発電の資金繰りについて、2013年3月9日の日本経済新聞9面が報じているので見てみましょう。原子力発電の使用済み核燃料の再処理事業を手がける日本原燃(青森県六ケ所村)が、日本原子力発電の資金繰りを支援する方向で検討に入った。日本原子力発電に対して、日本原燃が資金支援を検討していますが、その内容を見ると資金繰り倒産の危機にあることが分かります。日本原燃の資金繰りと債務保証について、簡単に見てみましょう。
(3)建設費の払い戻しと電力会社の債務保証
再処理施設の建設費として日本原電から受け取った400億円弱を一時的に払い戻す。関西電力など電力4社は債務保証を続けて1000億円規模の借り換えを支援する方針だ。日本原子力発電の借入規模を見ると、ほとんどが電力会社の債務保証で借入を行っていることがわかります。日本原子力発電の資金繰り策について見てみましょう。
- 日本原子力発電が日本原電に支払った400億円弱を一時的に払い戻し
- 関西電力など電力4社が債務保証を続けて1000億円規模の借換を支援
(4)日本原子力発電の手元現金不足と信用力低下
日本原子力発電は、日本原電から400億円弱の返金を受けますが、あくまで一時的な払い戻しです。日本原子力発電は、言い換えると、手元資金不足で倒産危機に陥っていると言い換えることができます。日本原子力発電の債務保証についても、日本原子力発電は銀行から単独で借入ができないことを意味しており、銀行が信用していないことが分かりますね。
(5)電力会社の経営悪化と資金支援の限界
日本原電が持つ日本原燃の株式を他電力が買い取る案もあったが、各社が赤字に陥っているため実現性が乏しいと判断した。日本原子力発電の倒産危機に対して、電力会社の支援能力が低下していることが分かります。電力会社は倒産する可能性は低いものの、財務の悪化により、株主に対して説明がつかない資金支援はできなくなっていることが分かります。
(6)日本原子力発電が倒産回避に禁じ手
このため、日本原電は保有する燃料ウランや不動産の一部を売却するほか、4月から従業員の基準内賃金を約5%カットすることを検討中。原発の安全対策や補修工事を繰り延べるなどして資金捻出に努める考えだ。日本原子力発電が倒産回避のために、禁じ手を行おうとしているので見てみましょう。原子力発電所は、安全を最優先する必要がある発電方法ですが、安全対策を後回しにするほど、資金繰りに追い込まれていることが分かりますね。
東京電力支店廃止のリストラ 分社化と倒産しない理由についてまとめていますが、東京電力も固定費の削減や修繕の先送りを行っています。電力会社にとって何れ必要な経費ですが、発送電分離が行われると地域独占が弱まるので、経営基盤は弱体化していくことになりそうですね。
(7)経営悪化と電力会社の株価への影響
- 東京電力株式会社(28.23%)
- 関西電力株式会社(18.54%)
- 中部電力株式会社(15.12%)
- 北陸電力株式会社(13.05%)
- 東北電力株式会社(6.12%)
- 電源開発株式会社(5.37%)
- 九州電力株式会社(1.49%)
- 中国電力株式会社(1.25%)
- 株式会社日立製作所(0.92%)
- 株式会社みずほコーポレート銀行(0.71%)
- 三菱重工業株式会社(0.64%)
- 北海道電力株式会社(0.63%)
- 四国電力株式会社(0.61%)
- 日本原子力発電の借入金が急増
- 日本原子力発電の決算は赤字
日本原子力発電は倒産危機に安全対策の後回しという禁じ手を使っていますが、電力会社は債務保証と出資比率の高い電力会社を中心に株価は大きく影響を受ける可能性がありますね。日本原電 銀行融資と倒産回避の仕組みを見ると、今回も電力会社の債務保証で乗り切ったようですね。電力会社は隠れ借金を抱えることになりますので、料金転嫁が困難になれば、経営悪化の大きな要因になる可能性があります。 スポンサードリンク
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