(1)クラウン製靴の販売先
クラウン製靴倒産の理由について、2013年2月25日の東京商工リサーチが報じていますので、内容について見てみましょう。クラウン製靴は、民事再生法により負債金額約36億7000万円で倒産しています。同社は昭和33年5月に創業した靴の製造販売業者。本社工場で靴の製造を行い、高級革靴の専業メーカーとして紳士靴を中心に全国の専門店や百貨店に商品販売し、ピーク時の平成18年5月期には年商39億円をあげていた。クラウン製靴は、全国の専門店や百貨店に商品販売しており、製造する商品に一定のブランド力や品質があったことが分かると思います。クラウン製靴の取扱商品の特徴について見ると、高級ブランドとして一定の認知があったようですね。
(2)クラウン製靴の取り扱い商品
ビジネスからカジュアルまで幅広い商品を扱い、「キャサリン・ハムネット」「カステルバジャック」「ランバン」などの高級ブランド靴も扱い、全国のアウトレットパーク内を含め15店舗近くに出店し、平成24年5月期は年商30億2940万円をあげていた。クラウン製靴の取り扱い商品につい触れられていますが、以下の3種類が高級ブランド靴として特に認知されていたようですね。
- キャサリン・ハムネット
- カステルバジャック
- ランバン
百貨店などで売れ残った商品を、そのまま値下げするとブランドイメージが悪化する可能性がありますので、アウトレットパークには値崩れを防ぐ効果もありそうですね。
(3)業績の低迷と倒産 3つの理由
- 2006年5月期(平成18年) 売上高39億円
- 2010年5月期(平成22年) 売上高約34億4500万円
- 2012年5月期(平成24年) 売上高30億2940万円
クラウン製靴倒産の理由について見ると、売上高の減少以外の4つの理由が分かりますので、運が悪かったということもできそうですね。
(4)-1 地震の被害
しかし、平成23年3月には東日本大震災により仙台市に所在する2店舗が大きな被害を受けたほか、デリバティブの解約損により23年5月決算では7500万円以上の特別損失を計上するなど厳しい財務状況にあった。クラウン製靴が倒産に追い込まれたに、地震により店舗が被害を受けたことがあります。クラウン製靴にとって、これは運が悪かったとしか言いようがないですね。
(4)-2 デリバティブ解約損
クラウン製靴は、本社工場以外にも出資している中国の工場でも、国内外の有名ブランドの男性用革靴をOEM生産するほか、自社ブランドも展開しているとTDBが報じています。クラウン製靴は、中国の工場から輸入取引があり、デリバティブ取引に手を出していたようです。クラウン製靴は売上高と比較すると、7500万円以上の多額の損失を計上しており、倒産の引き金の一つになっています。
山本工業倒産理由は反日デモがきっかけですが、デリバティブ契約も行っており、デリバティブが倒産の引き金になる会社は多いと言えますね。デリバティブ契約による多額の損失と何か他の要因が重なると倒産することが多いように思えます。
(4)-3 主要仕入先と株主の倒産による連鎖倒産(3)
ここに主要仕入先で皮革材料を調達していた(株)櫛原(TSR企業コード:290193508、台東区)が2月8日破産開始決定を受け、商材の仕入れがストップしたうえに、同社はクラウン製靴の株主でもあったことから信用を大きく毀損。クラウン製靴の倒産前に取引先が倒産しており、連鎖倒産であると言うことができると思います。
- 櫛原からの商材の仕入れがストップ
- 櫛原はクラウン製靴の株主
(4)-4 金融機関が、融資当日になって融資実行を拒絶(4)
このため期日の到来する手形決済資金の調達のために金融機関から借入れを予定していたが、融資当日になって融資実行を拒絶され、他から不足資金の調達もできずに支えきれなくなった。クラウン製靴の倒産理由について、東京商工リサーチは、金融機関が融資当日に融資実行を拒絶したことを原因の一つとして報じています。クラウン製靴の倒産理由が、融資当日の融資拒絶であるならば、取引経緯によっては金融機関が金融庁から処分を受ける可能性があるのではないでしょうか。
クラウン製靴の倒産理由を見ると、デリバティブにより失敗していますが、周辺環境に左右された末の倒産であることが分かるのではないでしょうか。レモール倒産と民事再生は、企業買収を繰り返して事業拡大を続けましたが、粉飾決算の発覚と為替デリバティブ契約による損失で、業績が急速に悪化しています。中小企業にとって、安易な為替デリバティブ契約は倒産に直結することが分かりますね。 スポンサードリンク
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