HMV倒産の理由

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HMV倒産の理由について見ると、イギリスの特性もあるようです。HMV倒産は、インターネットによる買い物に抵抗がない消費者が多いことも要因の一つですが、日本もその流れは変わらないので、人事ではないですね。

(1)イギリス最大のCDチェーン店

HMVの倒産について、2013年1月21日の日経ビジネスオンラインが報じているので見てみましょう。
1月15日、英国最大のCD販売チェーンであるHMVが倒産した。HMVは1921年に1号店を開いてから、長年にわたってこの国のエンターテインメント文化の一翼を担ってきた。
HMVは英国最大のCD店ですが、1921年に1号店ということは歴史のある会社である事が分かります。インターネットに小売の中心が移っている事が指摘されています。HMV倒産の日のHMV基幹店の様子を見ると、店舗で物を買う習慣が変わっていることが分かります。

(2)倒産で店舗に混乱はなし

HMVが倒産した日の朝、ロンドンの繁華街オックスフォード・ストリートにある旗艦店を訪れた。新聞やテレビでの報道にも関わらず、閉店セールを期待して押しかける消費者もいなければ、倒産に慌てる従業員の姿もない。いつものように、静かな平日の朝だった。
HMV倒産の時の様子が、小売店の影響力低下を現しているのではないでしょうか。インターネットで物を買うことが普通になっていますし、音楽配信もありますのでテンポで音楽を買いに行く必要もないですしね。

(3)倒産前に売上激減

HMVは約4350人の従業員を抱え、235店舗を展開してきた。昨年、英国のCD市場では35%のシェアを持っていた。それでも、業績は急降下していた。2012年4月期の連結売上高は前年比2割減の8億7300万ポンドで、最終赤字は縮小したものの依然として8000万ポンドに上っていた。
HMVは倒産前に売上高が大きく減少していますが、高いシェアと多数の店舗を抱えていますので、まとめてみます。
  • 従業員数 約4350人
  • CD市場で35%のシェア
  • 為替レート1ポンド140円と仮定(2013年1月23日1時30分)
  • 2012年4月期の連結売上高は8億7300万ポンド(約1222億円)
  • 連結売上高は、前年比2割減少
  • 最終赤字は8000万ポンド(約112億円)
HMVの企業概要を見ると、倒産前であっても高いシェアである事が分かります。HMVの倒産は、高シェアでそれなりの規模があったとしても、店舗販売で商品を販売する事が難しくなっている事が分かります。

(4)音楽市場をアップルが制圧

音楽配信の市場増加

英国の音楽業界団体であるBPI(The British Recorded Music Industry)によると、2012年第1四半期に音楽配信などデジタル形式による売り上げが市場の55%を占めて、CDなど物理的な媒体による売り上げを初めて上回った。
HMVはCD販売ですので、音楽配信の影響を大きく受けたのでしょう。デジタル形式の市場が大きく伸びた事が影響しているのでしょう。

HMVは英国で音楽販売のシェアは15%程度

HMVは英国のCD市場で35%のシェアを持っているとなっていますので、音楽全体に占める市場シェアを概算で計算して見ます。
  • HMVは英国CD市場で35%のシェア
  • 音楽はデジタル形式による売り上げが市場の55%を占める
  • HMVの音楽市場に占めるシェア=音楽市場に占めるCDの割合(1-55%)×35%
  • HMVの音楽市場に占めるシェアは15.75%
市場シェアの計算は、あくまで管理人が概算で計算したものですが、音楽配信市場に侵食された影響を大きく受けている事が分かります。

HMVではなくiTunesが英国最大の音楽小売店

シングル曲に限れば、昨年販売された1億8900万曲のうち、実に97%がダウンロードによるものだった。事実、レコードレーベル会社にとっても、もはや最重要顧客はHMVではなくなっていた。ソニーミュージックUKのニック・ガッツフィールドCEO(最高経営責任者)は、「英国最大の音楽小売店はiTunesだ」と打ち明ける。
音楽配信市場拡大の最大の要因は、アップルのようですね。アップルのiPhoneとiPadなどはiTunesを通して音楽が安い値段で、いつ、どこにいていも購入する事が可能性です。
アップルは手元の在庫調整のために、部品製造会社に生産調整をかけているようです。しかし、ソニーなどもソニー上場子会社の戦略に変化が加速しており、デジタル音楽市場が伸びる流れは止まらないでしょう。HMVの倒産やソニーの戦略変化は、イノベーションによるiPodやiPhoneで音楽市場を取り巻く環境が変化しており、競争に勝ち残る方法が変わったと言えそうです。

(5)市場参入に遅れる

HMVも、音楽配信に取り組んでいなかったわけではない。2010年には、音楽配信を手がける英セブンデジタルと合弁会社を設立してサービスを開始していた。だが、小売業の著名コンサルティング会社、英コンルミノのニール・サウンダース氏は、「HMVの参入は遅きに失した。既にiTunesが大成功を収めていた上に、iPodやiPhoneと統合されたサービスの牙城を崩すことは不可能だった」と話す。
HMVは倒産前に、音楽配信市場に参入したようですが、市場参入が遅かったためアップルの牙城を崩す事ができなかったようですね。

(6)英国はネット販売の売上高が高い

そもそも、英国の消費者はインターネットでモノを買うことに対する抵抗感が少ない。米ボストン・コンサルティング・グループの調査によると、2010年時点で英国の小売業におけるネット販売の売上高は全体の13.5%を占めており、G20 (主要20カ国・地域)の中で最も高い
英国市場のマーケットを見てみると、消費者はインターネットで売買する事に抵抗があまりないようです。日本でもインターネットの売上高は伸びていますので、HMV倒産の理由を見ると他人事ではないことが分かります。

BAY5SQUARE倒産破産の理由は、災害による興行の自粛ムード長期化により倒産しています。CD販売の減少により、ライブを収益源としているアーティストや音楽事務所にとって、ライブハウスの減少が増えると、活躍する機会が減少することになりそうですね。
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